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第17回 THE・借地権 〜地代・保証金・更新料・借地権売買〜
平成16年6月5日(土) 有限会社 エムネット・コーポレーション 前田 達人

1.借地借家にみられる悪循環とリスク

築40〜50年経った古い貸家などでは、現在の貸家人がほぼ生まれたときからそこに住んでいるというケースも少なくありません。
その貸家人の親が「自分」の家を修理・修繕し、それをみながら育った現在の貸家人は、大人になるまでこの家が貸家であったことすら知らなかったとしても不思議ではないのです。
このような貸家人にとって、貸家権が強い権利であるという以前にこの家はほとんど「自分の家」なのです。

2.古貸家・古アパートの5つの整理メニュー

不良債権の優良化のために…
  1. 適切な修理・修繕で適正な家賃をもらうこと
  2. 建物老朽化を原因として、契約更新を拒絶し、明け渡しを要求すること
  3. 土地・建物を貸家人に買い取ってもらうこと
  4. 相続の際、貸家の土地(低地)を国へ物納すること
  5. 相続の際、定期借地権を使って、その低地を国へ物納すること
3.貸宅地整理に伴う5つのメニュー 〜事例を交えて〜

  1. 低地売却
    貸宅地の整理としては最もポピュラーです。しかし、本来、低地とは売買されるべき値段が売主・買主双方が納得のいくかたちで決まりにくいので、交渉に要する時間と手間がかかり、精神的に疲労感が募ります。
  2. 借地権買取
    本来、返ってくる可能性がきわめて薄い土地が借地権を買い取ることにより、有効に売却といったように選択活用やあるいや選択肢が広がります。
  3. 交換
    ・物件の形態
    あるいは土地の賃貸状況によりますが、一定の要件を満たしていれば地主の低地と借地人の借地権を等価交換することにより、生まれるメリットがあります。相続対策上、貸宅地生地の時期としては相続発生前の方が好ましいのですが、等価交換を利用できるのであればさらにメリットが生まれます。
  4. 共同売却
    地主は低地を借地権を共同売却して換金する方法です。
  5. 低地買い業者一括売却
    地主の持つ10件から20件、場合によっては、100件でもまとめて一括して買い取る業者です。買取値段の目安としては、更地価格の15〜20%程度です。一般的な住宅地では、借地権割合での低地評価は40%ですから、安く売ってしまって損だなという印象もありますが、相続を間近に控えているような場合、大量の貸宅地を保有していることは非常にリスクが高いといえます。
4.借地・借家の更新拒絶の正当事由

貸主が「死活」問題で借主が「望ましい」程度ならば、貸主の契約更新拒絶は受け入れられるでしょう。反対であれば、契約は更新されます。
それでもどうしても貸主が契約を終了させたいと願うならば、天秤が自分の方に傾くように「持参金」を自分の皿に積み上げることになります。
これを「金銭による正当事由の補強」といいます。

5.地代・承諾料・更新料の性質と特色について

土地賃貸借関係における紛争の種となる主たるものに、地代の値上げ・増改築に伴う承諾料、そして、契約更新時の更新料があります。
いずれにしても金銭の問題になりますが、その原因は返してくれといっても返してくれない土地を、借地人に安い地代で使用されているという日頃からの地主の不満がこのような際に、ふくれあがり紛争に発展するケースも少なくありません。
この主の3つの紛争のうち、仮に法的に争ったと仮定したときに取れないのが更新料になります。他の2つについては、争えば裁判所は受け付けてくれ、また事情によっては、一定の金額を支払うように命じてくれます。

6.保証金・地代・名義変更寮・更新料の目安

  1. 地代の目安
    簡単な土地賃料算出方式は、
    「公課倍率方式」で(固定資産税+都市計画税)×一定倍率
    倍率は、住宅地は約2倍 商業地は約2倍から3倍
  2. 更新料の目安
    更新価格の2%〜5%
  3. 名義変更料(借地権譲渡承諾料)の目安
    借地権譲渡価格の10%程度
  4. 増改築の承諾料の目安
    更地価格の3%程度
  5. 立替承諾料(借地条件変更承諾料)の目安
    更地価格の10%


7.相続への準備

資産家または土地オーナーの方々にとって相続は、避けては通れない重要な問題。相続対策には、評価引き下げ対策・遺産分割対策・移転対策・納税対策の4つの大きなテーマがあり、これらをバランスよく組み合わせることで、最善の資産承継が可能となります。
  1. 資産分析
    資産家や土地オーナーの方々は、不動産の所在や預金などは把握されているのですが、不動産の権利関係、法令上の制限、処分の可能性および時価や万一のときの相続税額などを含めた資産状況について正確に把握されていないケースが多く見受けられます。
  2. 税理士の選定
    税理士も同様に専門分野にわかれ、記帳などを得意とする方や資産税を得意とする方もおられます。最近では、相続税を専門とする税理士もおられて、申告の仕方で課税額が大きく変わるということも希ではありません。
  3. 遺産分割協議
    被相続人及び相続人が弁護し、司法書士及び税理士のもと、誠意をもって話し合いを行い、「争続」とならないようにしましょう。
  4. 物納の適格性
    相続税の課税によって、多額の税金が課せられた場合、金納が困難になるケースも多いようです。そのような場合、物納は有効な手段のひとつになりますが、一定条件をクリアする必要があります。